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7月の最終週。今回訪れたのは、前回に続いて川向かいの町、横手市の増田町。
今年の冬、大雪の降る林檎畑で取材させていただいた、佐藤修平さんの師匠でもある細川博之さんの畑にお邪魔した。
細川さんは、UMOSOROという屋号で、りんご、さくらんぼ、桃を育てる果樹農家。
もともとは東京でデザイン・出版関連の仕事をしていたが、10年ほど前 東北大震災をきっかけに家業を継ぐことを決めて、Uターン。細川農園としては7代目。
地域で続けられてきた農法に囚われず、樹が持っている味を積極的に引き出すことに注力し、他地域で行われている新しい農法を取り入れながら、果樹作りを続けている。
今では増田地域のりんご指導部長に指名されたくらいだが、就農当初、若くて経験も少なかった頃には、地域のスタンダートを逸した方法で作業を進める細川さんに怒る先輩も居たそう。
岩崎の近隣には、横手と湯沢の狭間を流れる皆瀬川、成瀬川を囲んで 増田・十文字・馬鞍・成沢・駒形とそれぞれ名のある果樹地帯が広がる。
シーズンが来れば、地域超密着型のスーパー・スーパーモールラッキーや、道の駅十文字、それぞれの農家さんの直売所に真っ赤なりんごやさくらんぼ、桃や梨がならぶ。
(2021年秋撮影)
細川農園、夏の主役は、桃。写真ではまだ殆ど色付いていないけれど、陽にあたった場所からピンク色に変わっていく。桃の食べ頃はすごいスピードで来るらしい。
細川さんの畑で育てられているのは、あかつき、川中島白桃、おどろきと蟠桃。それぞれ最盛期が少しずつ違うので、8月頭ごろから順を追って出荷が始まる。
細川さんは桃の畑だけで3箇所ある。就農してまだ日が浅かった頃に作った畑と、新しい農法の特性を掴み始めた頃に作った畑で印象が違って、10年の歳月で細川さんが会得してきた果樹との付き合い方が、畑の様子に見て取れる気がした。
横手盆地の果樹は りんごのイメージが強いものの、細川さんのように複数種類の果樹を手掛ける人も少しずつ増えていて、大体が三種類ほどだという。
収穫のシーズンをずらしたり、複数ある農地をより適した用途に使用するためにも有効なのだろうか。
ちなみにりんごはまだまだ小さい。ジリジリと照らす陽を浴びて、地から静かに水分を持ち上げ、葉の色を増す。
実はコチっと硬く、あの爽やかな匂いはまだしない。
2年前、雪の中でねずみに囓られた樹は、実こそなるものの出荷できる物ではなく、数年間を掛けてまた健康な実を成らせるまでに回復していく。
人間も傷ができれば周辺が盛り上がって、1週間もすれば閉じていくけれど、皮膚と樹皮ではまるで硬さが違うから。本当にゆっくり、時間を掛けて治っていくそう。
手塩を掛けて育てた樹が安全に冬を超えられるように。成りかけた実が雨に腐らないように。強い樹に育つように、美味しい実を成らせてくれるように。
グリーンハウスで育った野菜や、強いては肉まで、安定供給できる構造が脚光を浴びる一方、それぞれの樹が作りたい味を支える果樹農家の視線が、横手盆地にありました。