増田のこんぶ屋さん 佐藤こんぶ店

7月中旬。今年はなかなか梅雨が明けず、分厚い雲が空を覆う。
今日は岩崎を少し離れて車で10分、横手市の増田に向かった。

増田は、歴史ある建物が顔を連ねる、商人の町。
うなぎの寝床と呼ばれる、間口の狭い街並みの背後には、内蔵(うちぐら)と呼ばれる 雪から土蔵を守るための建屋が並ぶ。
とても広いエリアにこの町並みが広がるわけではないけれど、すぐ近くにある 横手市増田まんが美術館 や、昨年冬にお邪魔した 山田豆富店 さん、羽場こうじ店 さんの女将さんが、発酵の町の”いつもの味”を振る舞ってくれる くらを さん、他にもカフェだったり町中華だったり駄菓子屋さんだったり、家族でも友達でも、ゆっくり町歩きを楽しめる。

この日訪れたのは、佐藤こんぶ店さん。お店番をしているお母さんに、少しお話を聞かせてもらった。

いま日本で流通している国産昆布は、9割近くが北海道。佐藤こんぶ店さんで扱っている昆布も北海道産の物なんだけど、美味しさを決めるのは素材だけじゃなくて、加工にも秘密があるらしい。
ただ残念なことに、昆布の加工作業は晩秋から初冬の間、9-12月のみ。それ以外は基本的に販売でお店を開けている。

今のお店構えに建て替えてからも数十年経つけれど、お母さんが佐藤家にお嫁に来た頃はまだ、木造の建物が多く並んでいた。写真を見れば道路こそ舗装されているけど、時代劇のセットのような町並みがずっと続いていたのだろう。
かつては夏の間に瓶のサイダーを販売していたそう。あちこちに自動販売機が置かれる前、電気で動く冷蔵庫が一般家庭にまで普及する前。今飲んでも、なぜだかペットボトルより美味しく感じるのは何故だろう。

並んでいる商品の中で目についたのは、おつまみ昆布とパリパリおやつ昆布。
おつまみ昆布は色の濃くて、おやつ昆布はとろろ昆布的な透明感。
もちろんどれもお父さんが手作業で削いだもので、どちらも噛めば弾けるようなパリパリ具合。旨味と歯ざわりが癖になって、手が止まらなくなってしまう。
ひと袋だけ買って帰ったのだけど、二人でパリパリ食べていたらあっという間になくなった。2,3袋買っていくのが良さそう。

ちなみに増田、雪が降る間にもぜひ立ち寄ってみてください。
きっと息を呑むはず。