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雪が溶けて、桜が散り、代掻き(しろかき)を始めた田んぼに鳥や虫が集まり始めれば、農家さんは朝から夕まで忙しそうに行き交い始める。
薫り高く、白く輝く、ゆらゆらと湯気を上げるお米に向かって、今年も米農家さんの繁忙期が始まった。
秋田県内の田植えは、5月の初旬から中旬頃のスタート。全国の田植えの時期はもっと早いのかと気になったが、ネットを探し回る限りでは関東以北はだいたい5月以降で大きくは変わらない様だ。
5月にもなれば、横手盆地で気温が大きく二桁を割ることは少ないけれど、東成瀬村や鹿角市などの標高の高い山間部では、5月末まで田植えを待つこともあるらしい。
今年はすでに、20℃後半に差し掛かる暑い日が何度か訪れた。桜が咲いたり散ったりしていた頃は特に気温差が激しく、隣の岩手県では30℃を上回る日もあった。取材にお邪魔した日はまだ5月中旬だというのに、どんよりとした空に湿度を感じる風。雨を予感させる匂いに不安を感じながらも、昨秋にお話を聞かせていただいたサイトウさんを田んぼに探しに出掛けた。
サイトウさんの田んぼは今年、更に2町歩増えて合計25町歩。増えた2町歩は、機械が古くなり直せなくなったご高齢の方から管理を委ねられた。今までで委託を受けている田んぼの中には、面積が小さい故に作業効率が悪かったり、離れた場所にあるため回るのに時間が掛かったりするなど、すべての面倒を見るためにかなりの労力が掛かっている。
また今年の春は、息子さんが雪の怪我で作業に参加できず、田んぼだけでも手が回らなくなるぎりぎりのところ。昨秋に分けてもらった美味しいトマトは、手が回らないのでいったん休憩することにしたという。
日本で土地は、個人の持ち物である上に、数十年を掛けて手を入れてきた場所であるから、大規模の整備を実施するのも難しいのが実情なのだろうか。大規模農業や自動化をすべての土地で実施すべきだとは思わないけれど、機械の効率を最大化するための農地の変化がこの先もっと進んでいくかもしれない。
振り返ってみれば、田んぼと岩崎の集落を横断するように走る、高速道路とバイパス。どこと競う訳では無いが、利便性や効率を求め、より暮らしやすくなるように、土地の姿を少しずつ変えてきた。
私たちがずっとこの姿だと思っている地形も、かつては海の底だったかもしれないし、あるいはただの荒野だったかもしれない。
今のまま、昔のままを守るためではなく、こうしたい、こうあって欲しいという姿を想像する練習が、私たちには必要かもしれない。