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12月頭。師走と言うが、11月から随分助走をつけてるんじゃないかと思うほど、あっという間に12月が始まった。
2022年の秋はとても紅葉がきれいだった。なかなか初雪が降らないとうつつを抜かしていたら秋田県北部で降り始め、岩崎を含む湯沢・横手地域には1日遅れてやってきた。
明け方降り始めた雪は日暮れまで止まず、屋根の上には20−30cmほどの雪が積もった。朝乗ってきたはずの車は、次第に雪に隠れた。
例年は11月下旬に一度雪が降る。初雪は数日すればすべて溶けるものの、いちど一面が白く覆われて、半年ちょっと前に終わったばかりの険しい季節の記憶が思い出される。今年遅れて来た初雪は、ちょっと呆れるほどたくさん降った。
雪が降れば、放ったらかしてはおけない。ここは世界でも有数の豪雪地帯。トラックよりも一回りも二回りも大きい除雪車が通る道に、道路の端の目印となる赤白のポールを立てたり、覆いかぶさる木々の枝を落としたり、11月上旬には既に道路の下準備が始まっていた。
除雪に携わるのは、土建会社などに勤める人や農家など、冬の間に仕事が進められない職業に関わる人が多い。
今年の秋に話を聞かせていただいた拓真さん(写真右)も同じく、冬季は除雪車のオペレーターとして働いていて、今年で5年目になるという。お世話になっている方からのつてで、岩崎より幾分雪深い東成瀬村の除雪を行っている。
拓真さんが動かしているのは、除雪グレーダと呼ばれる除雪専用の重機。車両中央に付いた真っ赤なブレードの高さを調整しながら雪を押し退ける。車重は15トン前後。
すこしでも雪遊びをしたことがある人なら想像がつくだろうか、水気を持った雪は物凄く重い。溶接が盛られた世紀末のようなチェーンを巻いた大きなタイヤでアスファルトを鷲掴みにしても尚、道路に積もった雪はグレーダを押し返しているように見える。
その日の日中に拓真さんが除雪を担当したのは、横手市十文字から東成瀬村を経て、奥羽山脈を超えて岩手県一関市までつながる国道342号線。多少幅にゆとりのある片道1車線道路は、田んぼの中とときより集落の中を通る。
雪を溶かせば水になり氷点下では再び凍る。吹き飛ばすにしても、一度踏みしめられて重くなった雪をそこら中に撒き散らしていい訳ではない。条件が整っている場合を除けば基本的には道路脇に寄せていくしかない。シーズン終わりには雪を押しのける場所も次第に無くなっていく。
グレーダに乗って民家の前を通るとき、家の前の雪を寄せる住民からの目線は刺さるようなものだという。
除雪の仕事、基本的に天候次第。除雪車を導入する人がいて、整備する人がいて、操縦する人がいる。夜中、除雪される前の道路を拠点まで運転して、2時頃には稼働を始める。大雪が続けば本当に休みなく働く日もあるという。ただこれが仕事だからと言ってしまえばそれまでだけど、できるだけ道路をいい状態に保てるように、働く人がいる。
道路は、人々が暮らす町の、経済の、血管だと言ったりもするが、その世話をしているのもまた人だ。
家の前の雪寄せをしていれば、除雪車が作り上げた雪の壁に憤りさえ覚えることもある。
けど、雪が降り始めたのはここ最近の話ではない。自分が暮らすためには、除雪車が道を整備しなければ出掛けることさえままならない。
障壁がなにかと問えば、それは雪でも除雪車でもなく、雪が降ることを知っていながら敷地の余裕を考慮しなかったり、流雪・融雪の技術や設備を後回しにしてきた過去なんじゃないかと思う。
気候変動で雪が減ればいいものの、年によっては湿った雪が止まらないほど降ることも多くなった。
人口が著しく減るこの国で暮らしていくためには、少しずつでもロスを減らし、よりロスの少ない暮らしを実践するための努力が必要になるだろう。