お父さんの味 中華そば 梅太郎

岩崎を貫く旧羽州街道、千歳公園の入り口のすぐ横に突如できたラーメン屋さん、中華そば 梅太郎。
パーマ屋さんの後ろに並んで、どう見ても民家そのままの店構え。入り口にはら~めんののぼり旗。どんな店なのか、誰がやっているのか、店主の知り合いではない岩崎住民には結構な衝撃があった。
全く個人的な話だが、私は半年ほど前まで小麦アレルギーだったのでラーメンなんか食べられなかった。アレルギーは治ったので、やっとお邪魔できた。

私が突然お邪魔したので、最初は少しピリッとした雰囲気ながら取材に応えてくれた、店主の高橋さん。長く務めた会社を退職後、自宅の一部を改装してラーメン屋を開いた。

高橋さんは、奥様がパーマ屋さん。高橋さん自身も勤めていたが、パーマやカラーで遅い時間まで店にいる奥様に代わって、子供たちが幼い頃からよくご飯を作ったそう。
たまたまテレビで見かけた中華料理に触発されて、最初は見よう見まねから。次第にはまり込んで、プロユースの中古品から中華鍋、寸胴、バーナーと順番に揃えていった。

10年ほど前 まだ退職される前には、保健所の認可を取って岩崎・八幡様のお祭りで屋台を出したり、一時期面倒を見ていた下宿生の夕飯を作ったり。ずっと好きで、興味があって、2年前の定年を期に自分でお店を始めた。

お店を開くきっかけになった一つが、知人が営んでいた食堂の閉業。そこで使用していた、製麺機を始めとする機材を一式譲り受けた。
一度手ほどきを受けてから、粉、潅水、塩の組み合わせを熱心に研究した。今では季節や天候に合わせて調整を加えながら麺を仕込む。現在は麺は3種類。それぞれのスープに合ったものを出したい。
しかしもともと飲食店勤務の経験もなかった高橋さん。こんなに辛いとは思わなかったと、はにかみながら話してくれた。

業種に関わらず、原材料の値段高騰の煽りを受けるこの頃。
気楽に食べに来てほしいという想いから500円に設定した中華そばに、お得でありがたいとレビューを貰うこともあるそう。今のところはどうにかバランスが取れているから値上げしたくない気持ちは大きいものの、まだ若い高橋さんがお店を続けられなくなってしまっても本末転倒だし、悩ましいところ。

老舗ではないし、お母さんの味でもない、お父さんの味。

暖かくなれば冷やし中華も始めるそう、ぜひ寄ってみてください。