#ひいき
岩崎、山際の集落。
2021年現在、山の麓を電車が、そして西への視界を遮るように国道と高速道路が走る。
上の写真は、岩崎の千歳公園の辺りから、鳥海山を望む方角を見た写真。
こうやってGoogle Earthだったり、ドローンみたいな道具を使って見るとわかるんだけど、高速道路と工業団地の向こうにはたくさんの田んぼが広がっている。
僕は岩崎に通うようになってかれこれ3年近く経つけれど、不思議なことにこの高速道路の大きな壁に阻まれて、その向こうに広がる田んぼが岩崎の土地だと理解できていなかった。
かつて城下町であり、この集落の中で一通りのものを揃えられたという話を聞いてはいたものの、そもそもお米はどこから来るのかと、いまいちピンと来ていなかった。
10月上旬、稲刈りの最盛期、或いはほとんどの農家さんが稲刈りを終える頃、岩崎麹屋のユカさんに紹介して頂いて、岩崎の米農家さんの仕事場を訪れた。
お米を主に、そのほかにトマトを作っている、サイトウさん。
家族3人で、25町(ヘクタール)の田んぼを管理している。
家族3人でこの面積を管理し続けるのは、大変な仕事だという。
もともとは10町程度だったが、この辺りでは農業従事者の高齢化も進むなか、耕作放棄地がまばらに広がれば害虫や病気などのリスクが上がる懸念を感じて、手が届く範囲で農地委託を受けている。
これだけの農地が有りながら、日本国内でのお米の消費量は年々減っている。食用のお米をどれだけ作っても、市場が飽和するばかりで価格が落ちてしまう。だから大半の農家さんが、食用のお米以外にも、飼料用などのお米も一定量作っている。
田んぼを放置してしまうと、景観だけじゃなく、環境の著しい悪化を招いてしまう。生産物の需要の低下と、水田維持の負担の増加の板挟みのような状態。
これは別の場所から聞いた話だけど、例えば牛肉は、お米を飼料に使うとお肉の赤みが薄くなって、牛肉としての等級が落ちてしまう。市場価値が下がるから、”日本のお米で育てたお肉!”みたいなアピールをあまり見ない、とか。
でも調べてみると、秋田や島根、大分など国内でもいろんな地域で、飼料用米の活用が積極的に行われている。コーンや小麦をタンカーで輸入するより、近くで採れたお米を食べてもらったほうが環境にも優しい。
サイトウさんのお家と作業場は、ももとせの裏側、石孫さんの駐車場の路地にある。
夏から秋にかけて育てているトマトは、基本的に青いうちに関東に出荷されるんだけど、出荷の規格に合わないけれど十分に食べられそうなものは こうしてかんたんな直売所に並べているそう。
今年はもうほとんど季節が終わってしまったけれど、来年以降ぜひ寄ってみて。