#町あるき
今年の冬は、雪が降ったり止んだり。
日本国内でも指折りの豪雪地帯である秋田県南、そしてここ岩崎集落では、例年は雪の重さで建物に損傷が出ないように雪を下ろすのが通例なのだが、今年はその必要もほとんど無いくらい、本当に雪の積もらない年だった。
今回は、以前家族写真を撮らせて頂いたことからお付き合いのあった、また共通の木工・家具職人が居たことからつながった、岩崎に暮らすとあるご家族のお家にお邪魔した。
まだ建ったばかりの暖かいお家に暮らすのは、山口ご夫妻と、小学校・保育園に通う兄妹。
旦那さんは千葉県の出身で、木工・家具の専門学校に通った後、同じく湯沢市内にあり、曲げ木家具で知られる秋田木工に就職された。
奥様はここ岩崎の出身で、学校に勤務されている。
奥様とは職場の知り合い経由で知り合って、それから15年ほどが経つ。
千葉で育った旦那さんだけど、もともと彼のお母さんが青森の出身だったこともあり、東北の雰囲気にはなんとなく親しみがあったと言う。けれど勤め始めたばかりの頃は、あまりの大雪で自転車通勤もできず、冬の間は基本的に歩いて生活したそうだ。
秋田木工は、19世紀にドイツで始まった曲げ木という技術を用いた家具を制作する家具メーカー。
記事のカバー写真になっている細身で可憐な線を描く椅子も、秋田木工のもの。
岩崎は小さな集落ではあるけれど、小学校、保育園とそれぞれ5人ほどの同級生が暮らしている。
小学校は近くの公民館にバス送迎があるから、2,3クラス分の同級生が居る。
集落のすぐ横にバイパスが走っているから、かつてトラックやバスで混み合った通りは車も少なくて遊びやすく、子供や犬と散歩する人ともすれ違ったり。
今回はまだ早かったけれど、息子くんがお気に入りの春のお菓子、花見団子を探しに、お菓子のかたのさんにお邪魔した。
数年前に撮らせてもらったときまだ赤子だった娘さんが、お菓子を選んでいる様子になんだか嬉しくなった。
人も町も、生きていて、常に移ろうもの。
見慣れすぎちゃって、変わっていく様を意識する余裕も無い毎日だけど、この小さな集落にも、誰かの毎日がぎゅうっと詰まっている。