#町あるき
前回片野さんがお話の中ですこし触れた、鹿島様。藁で作られた 道祖神の一種。災厄退散と、五穀豊穣を祈願する守護神像。写真だとあまり大きく見えないかもしれないけど、実際は3メートル以上とすごく大きい。
材料は 藁。お米の稲の茎。それぞれの地域の経済規模を表すのに○万石という表記を使っていたように、お米は富であり 豊かさの象徴だった。
また冬は藁仕事と言って、秋に収穫したお米の藁を使って縄や筵(むしろ)を作る。鹿島様を作る行為もしかしたら、その年にお米が無事収穫できたことに対する感謝のひとつの形だったのだろう。
毎年11月に行われる初丑まつり。裸祭りとしても知られているこの行事も、各家々に俵を持ってまわり、最後にその俵を神社に奉納する(ぶち込む)。
スーパーやホームセンター、それを支える巨大な物流システムが存在しなかった頃。雪国に暮らす人々にとっては、全てが資源であり、全てが一連の流れの中にあった。
日本全体を通して、緻密な工藝品の産地として知られる土地は雪国が多い。冬の間 自由に身動きの取れない土地で 生活を続けるための知恵や技術は、名産として知られる工藝品だけでなく、豪雪地ながら凝った作りの建築が多いことや、やたら手の込んだ料理など 普段の暮らしからも浮かび上がるかもしれない。
帰り際、かしま館のロビーに並んだひょうたんが目につく。片野さんが作ったそう。
片野さんくらいの世代の人達には 器用な人が多いねと呟くと、”まず昔はなんでも自分らで作らねばねがったからなぁ”と片野さん。