空梅雨の岩崎山

6月前半はあられが降ったり豪雨になったり、ちょっと不安な天気が続いた。梅雨に入ってからは、ほとんど雨の降らない日が続いている。なんなら湿気も酷くなくて、心地よい日も。この頃は蝉の鳴き声が聞こえるようになってきた。

元石工職人の政雄さんを再び訪れた。まだいくらか肌寒かった頃、もう少し暖かくなったら岩崎山に一緒に山菜を取りに行こうとお願いしていた。あたふた忙しくしていたら6月もすっかり下旬になってしまって、諸々の山菜の旬も過ぎてしまった。
4月から湯沢市の地域おこし協力隊として活動している加納さんも加わって、3人でふらっとでかけた。

半分寝ぼけたまま、ほとんど準備もせずに家を出てきてしまった。政雄さんに長靴と軍手を借りた。
写真の中で渡っている大沢橋は、老朽化で本年中に取り壊しを予定されている。周辺地域の整備も含めて、景色が少しずつ変わっていく。住みよい環境にしていかないと、朽ちていってしまう。

大沢の扇状地を上がっていくと次第に山が近付いてくる。付近の尾根は植林された杉が多く目立つ。10分も歩けば、まるで人里離れた山中に出掛けてきたような気分になる。振り返ればもちろん岩崎の集落が見えるんだけど。

政雄さんから岩崎山のかつての姿の話をしてもらいながら、ゆっくり登っていく。山の中はどちらかというと少し荒れている印象。間伐もされず、成長もできなかった細身の杉が立ち枯れていたり、昨冬の大雪で折れてしまった木々がところどころに見られた。
杉が間伐されなかったが故に空を塞がれた山肌はほとんど日光を浴びることができないので、シダ系の葉っぱが地面を覆っていた。ちなみに山菜のわらびもシダ科の一種のようで、食べごろを過ぎてしまったものは他のシダの葉っぱと同じような形に成長していた。

30分ほど、山菜のポイントを回りながら歩いていくと、せり立った斜面の上に小さな尾根が見えた。手前の杉林と違って、いくらか明るいように見えた。
政雄さんに聞いてみると、尾根の向こうも以前は杉が植林されていたのだけど、皆伐(間伐ではなく、全て伐採すること)のあとに新規の植林が無かった。結果として広葉樹が自由に成長している斜面になっているらしい。

帰り道、岩崎の山から湧き出てきた水が走る水路に目をやると、小さな田んぼのようなため池のような場所に注いでいるのを見つけた。おたまじゃくしがたくさん泳いでいる。
ここは何かと政雄さんに聞いてみれば、ホタルの群生地を守っているらしい。政雄さんと友達の二人で整備してるらしい。
この頃まで、ホタルが生息できる環境を守ることの意味があんまりわからなかったんだよね。でもちょっとずつ、ホタルを守ることの意味がわかってきた。